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Bicycle−つれづれなること

ぶつかる

(7)現実世界に生きろ!:ネットビジネス界のコマッタちゃん

2002年に入ると,前年以上に都内のあちこちに自転車で出かけることが多くなった。回数はもちろん,距離も増大傾向にある。貧乏暇なしの反映(?)だ。そうした5月31日の夕方,晴海通りを銀座方面に向けて走っていた。閉店近くなったデパートの食品売り場で夕食を安く買って帰るためだ。ようやっと銀座のネオンが見えてきたところで,またもぶつかってしまった。

京橋郵便局横で突然前を走っていたライトバンが路側に寄り,私の前途をふさぐ格好になった。ブレーキも間に合わず,ハンドルが車に当たってバランスを崩し,続いて後輪を引っかけられて,路面に投げ出されてしまった。痛みこそあれ怪我はなかった。それよりも後輪を引っかけられて一瞬浮き上がった時の方が「やばい!」と感じた。そうした状態では,自分で姿勢をコントロールしようがないからだ。交差点が近く減速していたのと,仕事のため短パンなどをはいていなかったのが幸いしたというべきだろう。

起きあがって車のドアを叩き,運転手に降りてくるように促した。ライトバンだけあってこちらも仕事であった。週末&月末ということで,忙しさのため焦っていたのであろうか,初めはぶつけたという自覚すら乏しかった。そこでまずぶつけたという事実を認めさせることから始めなければならなかった。こちらとしては別におおごとにしようというつもりはなかったが,この運転手があまりにも不得要領な受け答えしかできないので,結局警察を呼ぶことになった。

しばらくしてやってきた築地警察署の警察官の一人は,

「今日は自転車の事故が多いんだよ。さっきなんか競輪用の自転車がグシャグシャになってたよ。これもタイヤ細いけど高いんだろう?」

などといって心配してくれた。「競輪用の自転車」というのはロードレーサーのことだろう。相当なスピードだったのか,衝撃に弱いのかはともかく,それに乗っていた人がどうなったかは語らなかった。もっとも私が細いタイヤにしたのは,昨年夏に起こった一件のためであるにすぎないのだが((2)を参照),こう心配されると恐縮してしまう。クロスバイクのフレームはMTB並みだし,タイヤが細いといっても700×28cなのでロードのよりはかなり太めだ。

運転手は20代前半の男性で「ネットワーク関係の会社」に勤めて間もないという。新卒ではなく,前は服飾関係の会社で営業をしていたという。せっかく直接人と接する仕事をした社会経験があっても,ネットワークビジネス(私はこれを「網商売」と呼んでいる)に入ってわずかの期間に,現実(リアル)の世界から遊離し,ヴァーチャルな世界に入り込んでしまったらしい。車でぶつけても,せいぜいゲームでとちったぐらいにしか思えないのだろう。しかも彼がいう会社名は聞いたことがなく,いくつかの検索サイトで探しても見つからなかった。この会社自体がヴァーチャルではないのかと疑いたくなるほどだ。

この日は自転車に乗って帰った。運悪くその翌日から3日間,うちから吉祥寺までの片道十数キロの長距離を往復しなければならなかった。用事を済ませてから吉祥寺駅前付近の自転車屋を探したが,吉祥寺三越(旧・東京近鉄百貨店)裏に見つけた自転車店は,夕方とあって既に店の明かりは薄暗くなっていた。その3日目である月曜日は時間に余裕があったので,そこに修理を依頼。用事をしている間に修理をしてくれることとなった。修理が終わった後聞いてみると,この店は毎日夜8時まで営業していて,その前日・前々日も営業していて修理も受け付けていたという。これに気付かず調子の悪いまま長距離を走り続けていたのだった。かくして,こちらの現実感覚もおかしくなっていた。

(2002.7.3)

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