Bicycle−つれづれなること

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ビックリガードを上がると…こりゃカタギじゃないな恐喝だ!警察へ保険会社とのやりとり
相殺と被害者救済保険会社とのやりとり・2少しはカタギに近づいたか?

(11) カタギじゃなかった連中;汚れたベンツの陰には…?


南池袋1丁目交差点 (2010.1.30)

2009年の秋から2010年の初めまでは,都内で自転車に乗る機会が少なかった。長期にわたって滞在した神戸などにはクロスバイクを輪行していき,短期間都内に戻るときには用務先においてきたりしていたので,うちから自転車を利用するときには,ほとんどママチャリということも少なくなかった。だがそうした情況も,1.17震災メモリアルサイクリング2010への参加など,「1.17」を過ぎた,2010年1月の下旬には落ち着きを取り戻しつつあった。

ビックリガードを上がると…

そうした中,1月21日の昼頃,ママチャリで池袋方面に向かって,JR山手線ほかのアンダーパスであるビックリガードを東側に抜けたところにある五叉路の南池袋1丁目交差点にさしかかった。信号を確認して進入したところ,ちょうど私が進もうとしていた方向からやってきた,カタギではなさそうな雰囲気を漂わせた1台の車が,右折するべく横柄に割り込もうとするかのごとくにも見えなくもなかったが,不自然な動きをしたかと思えば,次の瞬間私の自転車にぶつかってきた。

自転車の前輪とフォーク部に,車の右前がぶつかってきたのだが,自転車の後部が持ち上げられて突き落とされたような衝撃も感じた。当たったあともすぐには止まらず,やや巻き込まれるような感じになっていた。

こりゃカタギじゃないな

ぶつかってきた車は,白のベンツだった。そのボンネットには,若葉マークカラスの糞などのこびりついた汚れがついていた。車内を見ると運転しているのは40歳前後のバタ臭い顔の女で,助手席には中学生ぐらいの少年がいた。この女は,はじめぶつけた自覚が乏しかっただけではなく,隙を見て現場から逃げ去ろうとしているのが見え見えの態度だった。交差点の中という衆人環視のもと,それがまかり通るわけがないばかりか,交差点の東南側に交番があり,そこにいた警察官の目にとまるまでに,それほどの時間はかからなかった。

交番に連行された女は,あたかも自分に責任がないかのごとく,訳のわからぬことをまくし立てては警察官を呆れさせただけでなく,携帯電話をあちこちにかけては,何やら入れ知恵をもらおうとしているかのごとくであった。しかもこの女は,事故当時の情況について,自らの不利になるであろうことを否認すべく,つじつまの合わない供述をした。そのため,私の自転車とこの女の車を検分した上で,両者の食い違いがあるまま調書を作成して,物損事故として処理されることとなった。

もっとも自動車保険には,自分の非を認めて謝罪したり,保険会社に無断で示談を進めたりすることを禁じた条項を約款に盛り込んでいるところも多い。契約社会である外国であれば,そのあたりのことは,原則的に行うのが普通だから,自分に非があっても謝ったりしないものだ。そうしたところでは,それが社会通念であるにしても,ウソをついて,自らの責を逃れていいと言うことにはならない。

恐喝だ!

事故に遭遇したあとの週末は,再生への取り組みを続けている神戸・週末ボランティア訪問活動などのため,またも東京を離れ,神戸大阪にいたのだが,週明けに帰宅したところ,信じがたい1本の電話がかかってきた。この女が加入していた自動車保険の損害保険会社の担当者だった。

車を蹴られたので弁償してほしいとのことです

そちらが車をぶつけてきておいて自分の非を認めないだけならまだしも,事故とは別に“事件”をでっち上げてきたのだ。しかもそれを保険会社の担当者に片棒を担がせようというのだ。もっとも保険会社が,保険金支払いを免れるために難癖をつけることもあるが,そうであるならば,相手の過失を誇張するなりでっちあげるなりして,過失割合を下げようとするものだが,ここではそうではないようだ。私は当然にも拒否した。

そうするとしばらくして,この女の夫を名乗る男から電話があった。

おい,車を蹴っただろ? 女房がそう言ってるぞ! 息子も見たと言ってるぞ!! 弁償しろ!!! そちらの自転車の修理代を払ってやるから,こちらの修理代も払え!

などと怒鳴りあげてきた。

この男がこうしたことを言い出したのは,事故の翌日とのことだ。この男が事故を利用して恐喝してきたわけだ。事故を起こした女が言い出したとか,同乗していた少年が思いついたとか,これらの人物が共謀しているとかいった可能性もあるが,いずれにしてもカタギではないとみなして対応した方が良さそうだ。

警察へ

翌日,事故現場と交番を管轄する警察署に行った。既に事故処理した書類は本署に上がってきており,それをもとに,事故当時の情況を確認しながら,前日の一件を届け出た。愚かにも件の男は,私の携帯に,自分の携帯からかけてきたため,着信履歴が残っており,日時と電話番号を提示した。本署の担当者は,書類を見ながら私の話を聞きかけたところで,この女が信号無視をしていた可能性が高いことに気づいたようだ。

しかしもはやそれにとどまらない。若くしてベンツを運転していたことから「普通じゃない」との印象をもったことはともかく,その周りにも同様の人間がいることも,警察ではある程度解っているのだろう。

この恐喝が続いたりエスカレートしたりした場合の対応方法などを聞いて,警察署をあとにした。

もっともカタギの市民であれば,この程度なら大概のところ処罰に至ることはないだろう。一般市民であれば任意で事情聴取して微罪処分にでもするのがせいぜいのところであっても,同様の前歴・前科があったり暴力団員であったりすれば,ことの大小にかかわらず逮捕・起訴されるだろうし,執行猶予中や仮釈放中であればそれらが取り消され塀の中の人となるであろう。

保険会社とのやりとり

しばらくしてから,例の保険会社の担当者と電話でやりとりすることとなった。

まずは,「蹴られた車の修理代」なる不当な要求にはいっさい応じられないことと,かかる要求が犯罪であること,この一件を既に警察に届けていることなどを,私からハッキリ伝えた。

これは,保険会社が不当要求の片棒を担ぐことを防ぐためでもある。こちらから見れば事故の加害者であり,恐喝詐欺という刑法犯の犯罪者であっても,保険会社から見れば「お客様」だ。こうした不当要求にしても,子どもの使い宜しく伝えているだけなら,間接正犯「道具」として利用されたとして,法的には犯罪に加担したものとして処罰はされないだろうが,本来処理すべきことができず,解決が先延ばしになってしまう。

このあたりをどのように自覚したかは解らないが,ともかく当方の「自転車の損害が生じていることは間違いないのだから,その金額を出してほしい」と,何とか事務的対応をひとつでも進めようとするのが,この日の段階では精一杯だったようだ。

この女が入っていた自動車保険を引き受けている損害保険会社は,現在業界でも上位の規模だが,数年前の合併によってそうなったもので,合併前の各社のやり方なり資質ともなれば,現場レヴェルではバラバラなまま今日に至っていてもおかしくはない。そのあたりは,損保に限らず生保でも金融機関でも事情は同様だろう。

保険会社の顧客や相手方への対応などを評価し比較するサイトもあるが,実際には,個々のケースにおける当たり外れといってもいい落差が大きく,そうした評価なり比較が必ずしも現実を反映しているとはいえないのではなかろうか? もちろんこの一件に出てきた担当者が,同社の一般的情況を反映しているとか,平均的レヴェルであるということにはならないだろう。これをもって保険会社の評価と理解しないでいただきたい。

相殺と被害者救済

閑話休題。

交通事故に関して「相殺」といえば,普通「過失相殺」のことを思い浮かべるだろう。これは,被害者側にも過失がある場合,その過失分を賠償額から減額するものだが,「過失相殺」についての具体的基準は,法令で示されているわけではなく,裁判になれば裁判官の裁量に委ねられるという。実際には,自動車対歩行者とか自転車の場合,歩行者や自転車の過失がよほど重大でない限り,自賠責保険にあっては相殺を行わないのが通例のようだ。

これは被害者救済のためだ。被害者救済のために相殺を行わないようにするのは,何もこういった事故に限ったわけではない。交通事故以外の要因が加わっても当てはまる場合がある。

もし交通事故に遭って全面的に被害者となり,事故に関して過失相殺の余地が全くなかったが,たまたまその相手である加害者に,被害額と同額の債務があった場合,被害にたいする賠償とその債務を相殺して済ませると言うことは,実務上できないのだ。まずは事故の被害者にたいする賠償を済ませなければならない。

これも被害者救済のためだ。こうした形でも,被害者救済の道がひらかれている。

保険会社とのやりとり・2

さらに日が経ってから,またも保険会社の担当者と電話でやりとりした。すると加害者側は,「蹴られた車の修理代」を要求しないかわりにこちらの自転車の修理代も要求しないことにしたい,などとほざいているとのことだ。

こうした不当要求をまたも持ち出してきているわけだ。相殺とはまったく似て非なるもので,恐喝の口実を「蹴られた車の修理代」からこちらの自転車の修理代に変えただけで,その犯罪性には何ら変わるところはない。

そのことを説明し,このようなばかげた要求にも応じられない旨を告げた上で,相手方の様子を少し探ってみることにした。恐喝行為に及んでいる直接の主体は,この女の夫を名乗る男だが,この女やその他の人物の関与について確認しておく必要もあるからだ。すると担当者が言うには,加害者本人とは話ができず,“代理人”なる者がすべて取りしきっているとのことで,その“代理人”なる者の実態はよくわからないがこの女の親族のようだとのことだ。そのやり方からして,弁護士のごときでないのはもちろん,カタギの市民でもなさそうだ。この女の夫を名乗る男と同一人物の可能性もある。これが話しをややこしくしているが故に,この担当者も困っているようだ。

そうこうしているうちに,自転車も応急措置だけではどうにもならず,不本意な形で被害額を確定させることとなり(その経緯については別稿で述べることにしよう),保険会社に請求した。

何日かして,保険会社の担当者から連絡があり,加害者側は保険を使わず自分で弁償金を払いたいとのことだ。示談書を交わすことなどもせず,ただ銀行振込で払うだけにしたいというのも,いささか腑に落ちないところがあるが,それ以上に,事故から1月が過ぎた現在も支払いがないこと自体が,依然としてこの事故いや事件が現在進行形であることを物語っている。

(2010.2.21)

少しはカタギに近づいたか?

2月も末になったところ,聞き覚えのない男性の名前で弁償費用と同額の振り込みがあった。確認してみると,この女の夫を名乗る者だった。その姓が異なるのは大人の事情があるのかどうか解らないが,ともあれこのまま決着がつかないと自身が犯罪者になってしまうところに自分自身を追い込んだツケを払うことになったわけだ。これは弁償というより免罪符のつもりだろう。だが免罪符となるかどうかは今後の加害者側の言動次第であることを,警告しておかねばならないだろう。

(2010.3.6)

このように弁償に応じたことは,加害者側としては「これで終わりにしたい」と,心変わりしてのことのようだが,いくら賠償したからといって,一度引き起こした恐喝事件が消えるわけではなく,こちらはまだ現在進行形である。あるいはもし終わったとしても,己の愚行により,再び引き起こすことにもなろう。その時は間違いなく塀の中の人となろう。

(2010.7.6)

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