Bicycle−つれづれなること

ぶつかる

(4)真の被害者は?:割り込んできたポンコツ車

(3)に遭遇した翌年,これまたうちから近い,走り慣れた場所でのことであった。当時は勤務先が西武新宿線沿線だったので,高田馬場まで自転車で行ってpark & rideしていた。しかも普通の企業より朝が早いにもかかわらず,朝に弱い私は,結果として,ぎりぎりで職場に滑り込むためのダッシュ力を鍛えるという日々を過ごしていた。

そうしたある日のこと,いつもより重い荷物を荷台にくくりつけ,下り斜面となる明治通りの歩道を力の限り疾走していた。並行する都電の踏切に入るため左折してきた車が目に入り,急ブレーキをかけたものの,普段以上の慣性質量を如何とも出来ず,衝突は避けられないと解った。そこで次善の策として,正面衝突を避けるべく,自分もまた左折して側面同士でぶつかるようにした。

かくして案の定ぶつかったものの,怪我は免れた。車に乗っていた4人のうちの一人が「大丈夫ですか?」と一応声をかけてくれたが,自分に怪我がないと解ると,すぐに出発した。だが,日×の一番低いランクと思われるその車の側面の,ちょうど私の自転車のハンドルがぶつかったところが見事にへこんでいた。たかだか自転車とぶつかっただけでこれだけへこむとはと思われるへこみ方だった。

当時,しかもこのクラスの車のボディーの設計に,衝撃吸収構造という考え方はまだなかっただろうから,もともとその程度の強度しかなかったのだろう。これが車同士の衝突事故なら,彼らはまず無事ではなかっただろう。そうした車に乗るということは,それだけ自らの安全を犠牲にしているのだと思ったりした。こちらとしてはそれがちょうどクッション代わりになってくれたおかげで,自分も自転車も無事だったのだが…。

その後若干残る痛みをこらえて,ロスタイムを補うべく再び自転車をとばし,何とか仕事に間に合った。

青春時代 by森田公一とトップギャランThe Kaguyahime Forever
レコード・ジャケット写真に見える明治通り(東京都豊島区)
左は,森田公一とトップギャラン「青春時代」(76年発売)のLPジャケット裏面の写真。下の写真より南側で,同様に南側を向いて撮影。後方に見えるのは都電荒川線・学習院下停留所。写真に写っている,自転車走行帯を示すと思われる白線は,現在はない。
右は,「the KAGUYAHIME forever」(75年発売)の写真集兼ライナーノーツの裏表紙の写真。新目白通りとの交差点付近から北向きに撮影。この何番目かの踏切に入ろうとした車とぶつかったのが(4)の一件である。

(2001.2.16)

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