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Bicycle−つれづれなること

ぶつかる

1995年1月17日午前5時46分慰霊と祈りの朝にそごうの裏で警察を呼べ!弁護士は何のため?次なる現場で仕事? ボランティア?神戸ナンバーはやばい!?ダメージ確認へのLong and Winding Road再び現場へ「夷をもって夷を制す」というが…

(15) 阪神淡路大震災17年の日に


阪神・淡路大震災犠牲者追悼のつどい・昆陽池公園にて (左,2012.1.16),
阪神淡路大震災1.17の集い・東遊園地にて (右,2012.1.17)

1995年1月17日午前5時46分

忘れてはならない阪神淡路大震災が発生した日時だ。私はそのとき,関西の一角にいて,その揺れで目を覚ましたが,特に被害はなかった。周囲が明るくなるにつれて次第にその惨状が明らかになってゆくなか,それに背を向けるかのごとく,東京へ向かっていった。当時は東京で教育労働者をしていたからだ。

以後,大学院生を経てルンプロ的高等遊民となるに及んで,ヴォランティア活動に関わったことから,毎年,1月17日前後は神戸に滞在し,慰霊行事などに参加している。そうした行事を廻るために,自転車輪行して持ってきていたが,この2年ほどは,レンタサイクルで間に合わせている。それとあわせて,この時期に限らず,随時,神戸阪神間 など自転車利用情況に関する実地調査を重ねてきた。

しかしながら,体調・体力も,このところは宜しくなく,今年は,参加する行事をおさえたり,キャンセルしたりところも増えた。

今2012年の1月は,1995年と曜日の並びが同じになった。17日は火曜日だが,当時は成人の日と振替休日に続く連休明けだった。「すべての都市住民と環境に優しい街を!」がコンセプトの都市生活改善ボランティア主宰として参加してきた,関西学院大学 災害復興制度研究所復興・減災フォーラムは,8〜9日と,例年より1週間早まり,他の行事と間が空くため,今年は参加を見送った。

行事のピークを迎える第2週の週末は,この間,正常化−清浄化,さらには再生への取り組みを続けてきた,神戸・週末ボランティア阪神・淡路大震災17年目の週末ボランティアの会に,内容面にかかる準備から参画し,15日には,震災以来,息の長い支援を実践してきたNPO・元気村・移動サービスが,1.17ひょうご安全の日 推進事業助成制度の指定を受けて主催した1.17を忘れない〜カーナ写真展…1日だけのJAZZ喫茶に,スタッフとして関わった。

14日の消耗と15日の緊張のせいばかりではないだろうが,16日は,朝早くから動くことが出来ず,2009年以来3年続けて参加してきた1.17震災メモリアルサイクリングの参加を見送り,夕方近くまで大阪で休憩し,伊丹市の昆陽池(こやいけ)公園で行われた阪神・淡路大震災犠牲者追悼のつどいに向かうのが精一杯だった。

慰霊と祈りの朝に


現場附近:神戸市中央区磯上通8-1-23 (2012.1.28)

17日当日は未明から行動するべく,前夜は早めに三宮で休んだ。

午前5時過ぎ,例年のように東遊園地に向かい,5時46分にあわせて黙祷。続いてモニュメント前で行われた阪神淡路大震災1.17のつどいへ。その後は被災者や支援者が集まる交流テントなどに顔を出したりした。例年と変わらないか,それ以上の人出だったのは,予想に反して暖かかったことと,東日本大震災の被災者を大量動員した結果だった。

一休みした後,神戸市内各地を廻る。そのため昨2011年と同様,三宮駅前にあるレンタサイクル業者を利用した。この事業者とは,都市型レンタサイクルの利用推進の観点から,本社レベルとやり合ったこともあるし,以後何度か利用するなかで,昨秋,著しく摩耗したタイヤが走行中にパンクし,這々の体で戻ってきたこともあった。そのため,借りて出発した際,タイヤやブレーキの効き目,ベルの鳴り具合などを,いつもより入念にチェックした。

早朝の寒さが残るとはいえ,日差しのおかげでいくぶんか暖かくなってきた中,東部新都心・HAT神戸方面に向かった。脇の浜地区を過ぎたあたりになぎさ公園があり,そこで行われているひょうご安全の日のつどいの防災イベントなどを見学。ここはメモリアルウォークのゴールになっていることから,参加者が集まる前に見学を済ませておこうと思ったのだが,早すぎたのか,準備中のところも目立った。続いて,傍らで行事が行われる,人と防災未来センターへ。

そうしているうちに,いい時間になっていた。午後からは長田方面に行かねばならず,10km近い道を急がねばならなくなった。変速機のないママチャリ同然の自転車ではきついとはいえ,うまく経路を選択すれば充分間に合うと思われた。しかも三宮までは,復興住宅訪問活動の際,通るところでもある。

正午前,新生田川を渡って三宮南東部を西北方向に向かっていたところで事件が起こった。


現場附近:神戸市中央区磯上通8-1-23 磯上モータープール前 (2012.1.28)

そごうの裏で

北向きにやや上り坂になったところを,信号で進める方向に北へ・西へと進んで,ポートライナーの下を抜けて,そごうwingのある磯上通を神戸国際会館や花時計の方に向かって走っていたところ,傍らの駐車場から車が出て来て,私が乗っていた自転車にぶつかってきた。前輪に当たったため,前カゴに入れてあったカメラバッグが,路上に放り出され,道路の真ん中近くまで転がっていった。

このとき,駐車場前の路上には誘導員がいたが,この者は,一応,道路上を走る車が途切れたのを見計らってはいたものの,それ以外には一顧だにすることなく,自転車で東側から走ってきた私のすぐ前で,この乗用車を出庫させた。その車も,誘導を鵜呑みにして,あるいは横柄にも,自分が進めば他者が退くとでも思ったのであろうか,私が鳴らしたベルを無視して,進んだのであった。左右確認などした形跡は見られない。

警察を呼べ!

直ちに駐車場の管理室に「警察を呼べ!」と言った。加害者・車輛の確保はその次,転がったバッグの回収は,他の人車に轢かれないよう,また,通行の支障にならぬよう,急いだものの,3番目だ。

この駐車場・磯上モータープール(神戸市中央区磯上通8-1-23)側は当初,自らに責任が及ぶことを恐れたのか,通報を躊躇した模様だったが,再三の求めによって通報に応じた。

自動車側にそれほどスピードが出ていなかったことと,身体に直接当たっていないことから,重大なものではないと思われたが,レンタサイクル使用者の責任の点から,通報したのであった。

この事業者にたいして,都市型レンタサイクルが,公共交通機関同様の利便性を確保できるよう働きかけてきたことは,こんなんでええんかいな!? 「駅リンくん」で既に述べたとおりだ。そうであるが故に,事故時の対処において,なおのこと,筋を通しておかねばならない。損傷時の賠償に際して,こちらに落ち度も非もないと主張するだけでは,充分とは言えない。ともあれ,

レンタサイクル使用中の事故については,必ず警察に通報し,事故証明を出させるよう,心がけたい。

警察を呼んだ第2の理由は,加害者・車輛側だった。40代ぐらいの女が運転しており,たんに運動神経が鈍いだけかも知れないが,ベンツでこそないものの,車内を見えにくくするべく窓ガラスをっぽくした外車で,2年前に遭遇したケースほどではないものの,カタギではない可能性があった。

その後,駐車場側は,安易に加害車輛を移動させようとしており,それに乗じて逃亡を図りかねない情況でもあった。駐車場側にとっては「お客様」であり,逃亡幇助もまた「サービス」と思っていてもおかしくない。そこで,

あなたは今,自分がどういう立場に置かれているか解っていますか? 私人による逮捕がなされた状態です。現行犯逮捕は,逮捕令状も要らない上,誰にでも出来ます。しかしながら,速やかに警察官に引き渡す義務がありますから,おとなしく待っていなさい!

と言っておいた。

交通事故でも他の犯罪でも、現場で加害者の身柄を確保するのは、現行犯逮捕にあたり、逮捕令状も不要で、誰でもできる。ただしその場合、速やかに警察官に引き渡さねばならない

これは,

刑事訴訟法213条 現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

に,基づくものだが,万一,その筋の方々がやってきて,実力で身柄を奪還しようとしても,敵はもはや私ではなく警察であることを,知らしめるためでもあった。

事故現場から、所轄の葺合警察署までは徒歩10分ほどだが、警官の到着はそれより遅かった。先に来たのは、加害者に携帯で呼び出された,弁護士を名乗る男であった。現場に着いてからも何やらこの女と話している。


加害車両(左),利用していたレンタサイクル,路上に投げ出されたカメラバッグ (右) (2012.1.17)

そうこうしているうちに警察官が到着。既に20分近く経っていたであろう。最初にやってきた警察官に事情を説明したところ,

お前が逆走したんだろ!

と言われる始末。ここでまた自転車の車道通行の原則やら何やらを,延々説明しなければならないのかと,うんざりしたが,これに続けて,

自分は交通事故の担当ではないんで…。もうすぐ交通課の警官が来ますから,状況をしっかり思い出して説明してください。

と言った。要はマル暴絡みの事件かどうか,予め確認しに来たわけだ。警察にしてみれば,ある意味,必要かつ適切な対応であったのかも知れない。それから程なくして,別の警官の一群が到着。ぶつかった地点やその他の情況について聴いたり,巻尺を伸ばしてあちこち図ったりしていた。


加害車両と利用していたレンタサイクル,路上に投げ出されたカメラバッグ (左),
加害車両が出庫してきた駐車場 (右)。いずれもカメラの作動確認のため撮影 (2012.1.17)

この磯上通は,東向きの一方通行だが,それは「自動車・原付」を対象としたもので,自転車は含まれない。私の自転車は,当然にも車道の左側を走っていた。もっともこの区間では,自転車の歩道通行も可能との標識もあったが。

弁護士は何のため?

警察官の到着に若干先立って現れた男は,弁護士の肩書きを刷り込んだ名刺を出し,路上に投げ出されたカメラバッグの中身の機種やシリアルナンバーなどを記録し,レンタサイクルを利用した経緯などを聞いてきた。警察の調べのあと,自転車の返却に行くことを申し出てきたので,損傷が見つかって,業者側から弁償を求められた際の対応に不安は若干あったものの,委ねることにした。

カメラ関係では,その場で確認とテストを兼ねて何枚かシャッターを切ってみたが,その場では判断できないので,後日,慎重に判断した結果を伝えることにした。自転車が使えなくなったために要することになった交通費の補償を約束させたが,これも時間的制約の中では,精一杯のものであった。

万一,自転車の弁償を私に転嫁しようものなら論外だが,この加害車輛を運転していた女がすべて悪いとは言えない。左右を確認せず出庫させた誘導員にも責任の一端は,少なくともある。しかも駐車場側は,この間に,自らに責任が及ぶことを回避・軽減するべく,姑息な振る舞いをもってしていたのであった。彼らもまた加害者側であることを,言っておいたが,本来であれば,この弁護士が自ら調べて見つけ出すべきであったかも知れない。

こちらからすれば,加害者としての,こうしたものの賠償責任それ自体を免れることは,許されないものであり,まして,相手方の足元を見て,難癖をつけてくるようなことは,言語道断だ。だが,複数の加害主体間において,一部・一者に偏らず,応分の負担とするのは適切ではある。

もっとも,依頼者のために,処罰や賠償の回避や軽減に,あらゆる手を尽くすのは当然だ。そのあたりは,弁護士であろうと,非合法の「事件屋」の類であろうと変わらない。

ちなみにこの人物は,後日確認したところ,神戸でも長く続く法律事務所(弁護士法人)に所属する,いわゆるイソベンであることが判った。所属からすればマトモというか一流といっても良さそうだが,その筋の顧問弁護士はもっと一流らしい…。

次なる現場で

こちらとしては,まさに

阪神淡路大震災が起こった1月17日。この日のために神戸にきている

のであって,それを半ばにして台無しにされようとしたのだった。真に償うてもらうべきは,これをおいてほかにない。だがその内実と意味はどうであっただろうか?

現場附近は目的地の逆方向一方通行だから,タクシーを拾ってもしようがない。時間も遅くなってしまったので,ひとまず電車で最寄り駅まで向かい,その近くからタクシーで現地へ。

初めに行った先は,阪神淡路大震災で甚大な被害を受けた、長田区の菅原市場跡附近だ。毎年恒例となっている、大道芸人・ギリヤーク尼ヶ崎さんの鎮魂の舞いの現場なのだが,私が着いたときには終わって片付け始めたところであった。例年と少し場所が異なったためでもあろうが、観客はいつもより少なく、意気も今一つだったとのこと。

このところ,阪神淡路大震災関連の行事は,遺族や関係者の高齢化のため,参加者の減少,規模の縮小,さらには行事自体の打ち切りが,相次いでいる。そして今回は,何より,東日本大震災のため,決定的になっているのだ。マスコミ報道の定番や,東日本大震災の被災者を動員してのものは,それなりの規模を維持しているが,ほんとうに地元被災者によるものは,極めて厳しい情況にあった。車が入れないところも自転車で行って,くまなく廻ろうとしたが…,などという次元の問題ではなかった。

結局,そうした情況を,さらにはその厳しさを,自らの目で確認するために,半日以上をかけて,長田区を中心に,何カ所かを廻ったのであった。

しかしながら,償うてもらうべき内実と意味は既に失われていたのであった。

仕事? ボランティア?

阪神淡路大震災関係の行事といえばボランティアだと思われるかも知れないが,すべてがそうとは限らない。被災者支援には,いくら非営利といってもお金やものがたくさん動くから…,といった,抽象論や一般論をもってしても,説明には不十分だろう。

アーティストがノーギャラで慰問コンサートを開いたとしても,バック・ミュージシャンなどまでが無報酬とは限らないし,スタッフやプロモーターらにいたってはなおのことだ。ともあれ,人的・物的リソースにたいしては,経費分だけにせよ,心付け程度〜正当な報酬まで,違いはあるにせよ,相応のコストを負担しなければならない。

そのうち一部分であっても,瑕疵によって,イヴェントが開催できなかったり,運営に支障が出るようなことになれば,賠償責任が生じることがある。これには営利・非営利の違いはない。

結果として1月17日には,私自身に直接責任が及ぶ形での,そうした問題はなかった。だが,その前々日までのものに関して,その過程で同様の情況に遭遇していたら,賠償はもちろん,それでは済まない事態も起こりうるところだった。

実際,私が経験した中で,活動や行事の参画にあたって,主催者・責任者から

仕事として請けてくれ

と言われることは少なくない。今回も当然そういうことはあった。署名・捺印した契約書を交わすことは少なく,多くは口頭ではあるが,その形式にかかわらず,後々トラブルになれば,裁判沙汰になることも珍しくない。

ボランティア−無報酬であっても,負うべき責任は,仕事と何ら変わることはない

ボランティアが,そうした中で活動・実践していることを,市民の皆さんには理解して戴きたい。

神戸ナンバーはやばい!?

今回はまさに,神戸市の中心部で,任侠道を標榜しつつも,一部で「反社会的」とされている集団に関わっている可能性があるか,それと同等の厄介な存在と思われる者と遭遇したわけだが,実際のところ,「神戸ナンバー」の車輛はどうなのだろうか?

もちろん,絶対数の上で,その筋や,それ以外であっても困ったちゃんが保有・使用しているものが,一定含まれることは,否定できない。だが,それはあくまで一部・一側面に過ぎない。

そもそも現在,兵庫県下で,自動車のナンバーは「神戸」と「姫路」の2つしかない。その内訳は以下の通りだ。

【神戸ナンバー】(所管:神戸運輸監理部兵庫陸運部魚崎庁舎)神戸市、尼崎市、明石市、西宮市、洲本市、芦屋市、伊丹市、西脇市、宝塚市、三木市、川西市、小野市、三田市、篠山市、丹波市、南あわじ市、淡路市、加東市、川辺郡、多可郡
【姫路ナンバー】(所管:神戸運輸監理部姫路自動車検査登録事務所)姫路市、相生市、豊岡市、加古川市、赤穂市、高砂市、加西市、養父市、朝来市、宍粟市、たつの市、加古郡、神崎郡、揖保郡、赤穂郡、佐用郡、美方郡

大雑把に言うと,西播地方と日本海側が姫路ナンバーである以外は,神戸市のほか東播地方・阪神間・北摂はもとより淡路島全島が神戸ナンバーだ。

気候・風土はもとより地域性・事情も多様な範囲に及んでいるため,全体を通しての特徴を抽出することは難しく,ステレオタイプ的なレッテル貼りは,ほとんど意味をなさない。そうであるが故に,さまざまな注意が必要であるといっていい。これという対策を立てにくいところが,ほんとうの厄介さだ。その中で,一定の絶対数の困ったちゃんへの要心を怠りなく!

ダメージ確認へのLong and Winding Road

慰霊と鎮魂の1月17日。おおかたの行事が終わりつつあった中,慌ただしく,夜行バスで東京に戻った。体力・費用・時間のいずれにしても,これ以上今回の滞在を延ばせなかったからだ。

今回路上にダイブしたカメラバッグは,FOGG Bumble Beeだ。以前,大開通で路上に転落した際も,中の機材を守ったものだ。オールハンドメイドで,分厚い緩衝材が入っているため,見た目以上の重さがある。当時は英国製だったが,後にフランス製となり,現在は同レベルのものは入手不可能だ。今回は入れていた機材が違っていた。概して以前よりダメージに弱いものだ。

コンパクトデジカメ1台,35mmフィルムカメラの一眼レフボディ,ズームレンズ2本,ストロボその他の写真機材類のほか,システム手帳,ペンケース,携帯電話など,携行品のほぼいっさいを入れていた。それらをまとめて入れるのにちょうどいい大きさとレイアウトなのだが,まとめて投げ出されてしまっては,直後にどうしようもなくなることを,思い知らされた。

現場でも,弁護士とともに作動情況を確認したが,その場だけでは判断できないことも多い。未明から寒い中で撮影していたため,バッグの中,さらには個々の機材も冷気にさらされ,低温中にあり続けたので,電池が消耗していることによるものもあれば,フィルムカメラ関係のように,フィルムを撮りきって現像してみるまで,解らないことも多い。

現地で若干作動が鈍ったように思われたデジカメだが,暖かいところで充電し直した電池を入れて確認してみると,多少はマシになったが,完全とは言い難い。メディアを取り出し,転落後の画像をPCで拡大してみたが,それほど問題はなさそうだ。同一機種を複数使ってきた中では,かなり良好なコンディションのものだったのだが,並みのものになってしまった。これでは弁償を求めるわけにもいかず,目をつぶるしかあるまい。

フィルムカメラはContax 167MTで,20年近く使っている方のものだ。これにVario-SonnarT*28-85/3.3-4を付けていた。構成枚数も多く,重量もあり,マウント面にかかる力による歪みが懸念されるところだ。以前にやってしまったときのボディは,しっかりした作りの上級機・Contax STだったので,事なきを得たが,今度同じことを期待するのは難しいと思われた。

転落直後に現場周辺を撮影した後,その後廻ったところでも,さまざまなシチュエーションのもとで撮影してみたが,操作感覚に一見支障はなかったが,巻き戻し時の作動音に若干の不安を覚えた。早速現像に出し,仕上がりを確認したが,判断は難しい。スキャンしてみると,質感もよく出ているコマもあるので,ひょっとしたら大丈夫かと思ったが,念のため,新宿西口のヨドバシカメラ本店の修理コーナーに行って,点検してもらうことにした。

こういった場合,ショック品とみなされ,即オーバーホール・重修理扱いとなることが多く,いったんは高額の見積もりが来たが,心配された,ズームレンズの光軸ずれやマウント面の歪みなどといった,修理を要するような,衝撃によるダメージはないことが判った。ヨドバシカメラでは見積無料をうたっている。

この場合,各部の点検もしてもらっているのだから,その費用や,業者間の送料といったコストもかかっているはずだが,これも無料にしてくれた。

いずれも既に年代物となっていたので,これからは修理や再購入も難しくなるだろう。今回も辛うじて難を逃れたが,Carl Zeissのレンズは一生ものといわれて買ったものだけに,ボディはともかくとして,レンズは何とか使い続けたいものだ。

このカメラバッグの衝撃吸収性能の高さに改めて感心させられた。繰り返しになるが,これと同じものの入手はもはや不可能だ。大切に使い続けなければ…。

そうした確認に2週間近くを要した。

再び現場へ

その翌々週,すなわち東京に戻ってから10日あまり経ったところで,再び神戸へ。

まずは,件の現場とその附近の情況確認だ。駐車場出入り口の形状や,附近の磯上通の交通標識など,こちらにいっさいの落ち度がなく,交通法規を遵守して走行していたことを,念のため確認した。

続いてレンタサイクル業者にお詫びかたがたあいさつ。自転車に修理を要するようなダメージはなかったとのことだ。私に代わって返却に行った,例の相手方の弁護士の対応も適切であったことが判った。そもそもこの一件で,警察を入れて毅然と対応したのは第一に,レンタサイクル利用中に発生したことによるものだったので,これで最悪の事態は避けられたわけだ。

加害者側は神戸にいる一方で,こちらが東京にいることから,地元事情に疎いだろうと足元を見て,何をしでかしてくるか解らない。実際はかなり神戸にいることは多いのだが,かといってそれに安住することなく,入念な対応をもって備える必要がある。そうした姿勢が,かかる事態への抑止力となる。

そもそも神戸にいる間と言っても,お仕事を戴き,あるいはお役に立つべくしているものであって,そうそう知人や友人の手を煩わせるわけにもいかない。何より,万一とはいえ,とんでもない事態で迷惑や危険を及ぼすようなことがあってはならないからだ。

「夷をもって夷を制す」というが…

この加害者の女の対応も不可解さが依然として残るものであった。さすがに早々に逃亡することは断念したものの,自分自身の胡散臭さが露わになるのを恐れて,「カタギ」の代理人を立ててきた。

はじめは件の弁護士だ。現場で事故処理とレンタサイクルの返却に当たる中で,私の連絡先を尋ねてきたので教えておいた。しばらくして保険会社を名乗る電話があった。実在の保険会社名を名乗ったものの,営業拠点名と所在地を尋ねたら曖昧な回答だ。後ほど調べてみた結果と,うちに郵送された請求書類(交通事故で負傷した際に通院にかかった交通費を請求するためのものであった)をつきあわせて,確認しなければならなかった。

それまでに弁護士は,この件から下りていた。保険会社とは何ら関係なく,加害者が場当たりに呼んだもので,報酬が見あわないか,依頼者の要求が法に触れるに及んだのか,ひとつ以上であろう。最近では,事故時の迅速な対応をアピールする保険会社のサービスもあるが,いずれもそうした類では全くなかった。

かかった交通費の請求書などを送ってしばらくした後,保険会社から電話があった。この費用を,駐車場で誘導に当たっていた警備会社に支払わせることにしたということだった。それについては,加害者が,保険会社に関係なく,交渉して決めたとのことだった。

責任を逃れること自体はできないと観念して,転嫁すべきターゲットに矛先を向けたことは必然であるし,その矛先は間違っていない。これは私が当日現場で弁護士に言ったとおりだ。それを伝え聞いてのものでもあろう。警備会社としては,この駐車場の業務を請け負い続けるために,呑んだと言うことになろう。

ともあれ「夷をもって夷を制す」だ。

保険会社の担当者に尋ねたところ,警備会社は(株)兵庫警備保障とのことであったので,確認の電話を入れた。すると経理担当者と思しき者から,既に入金した旨の返答があった。こちらは仕事が早いようだ。この担当者は続いて「あの〜,領収証は?」と聞いてきた。経理処理のために実務上必要なのか,会社として支払った体を装うためかは知らないが…。

警備業者である以上,賠償責任に備えて保険に入っているが,それをもって支払いに充てることはほぼ皆無だ。少なからざる場合,事故を起こした当人が,自腹で支払う。会社名義で支払っても,一時的に立て替えているだけの場合もある。そのあたりの事情はタクシーや運送業者も同じだ。そのため,賠償金の捻出に窮して,支払いが遅れるだけならまだしも,夜逃げしたり,犯罪に手を染めたりすることは,往々にしてよくあることだ。

あまりに稚拙な過誤によることが明白だから,この者の責任は逃れられない。個人で賠償しなくても,社内で何がしらのペナルティは受けているだろう。となればこちらに報復の刃を向けることもあり得る。

これまで,無法ガードマンと悪徳警備会社闘ってきた経験から言えば,その可能性は一般に低くない。それを予め封じておくことが肝要だ。発生してから告発・糾弾するのではなく,予防・抑止することが望ましい。当面,注意・警戒しなければならない。

こちらとしては弁護士や保険会社を信用して個人情報を提供している(というより,そうせざるを得ないが)。警備会社・警備員もまた加害者側の一端だが,かかる危険性から,直接対応しなかった。

保険会社の担当者には,その点を考慮し,個人情報の取り扱いに注意を求めたいところだ。

そもそも保険というものは,損害賠償・被害補償に関して,それが円滑に進められることとあわせて,その滞りから,新たな損害や犯罪が生まれることを抑止する役割も果たすべきではないのか?

一般に「夷をもって夷を制す[以夷制夷]」とは,敵を利用して他の敵を制する意味で用いられる。だが,これは一面的な見方に過ぎず,その本来もつネガティヴな意味は没却されることが多い。自らの負担を回避し目先の目的を達成する上策と思われがちだが,果たしてそうだろうか?

これでは制すべき,討つべき相手を力で抑えただけで,心服させたことにはならない,すなわち儒教で言うところの「覇道」の方法であって「王道」のそれではない。中国古典『後漢書』をひもとけば,「夷をもって夷を制す」は,王道を尊ぶ観点から,むしろ排されるべきものとして説かれている。

覇道」の振る舞いをする夷狄にたいしても「王道」をもって接遇することが望ましい。

Photo Album 2012
2012年の「1.17」を控えて2012年の「1.17」「1.17」の後始末 HARA Hideki's Blog

(2012.2.22)

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